EDITORIAL
実験的高血圧症
西森 一正
1
1長崎大・原研病理学
pp.72
発行日 1967年1月10日
Published Date 1967/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201630
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Goldblatt(1938)の腎動脈狭窄実験以来,種々の高血圧実験が考案されてきた。とくに著名なものだけとりあげてみてもFriedman(1941)のセロファン腎周囲炎法,Selye(1942)のDOCA法,Skelton1)(1956)の副腎再生性高血圧,その他レニンやアンギオテンシン使用によるものなどあり,著者2)(1960)も腎炎増悪化による高血圧を作つたがそれぞれ特異性をもち実験成績に対する吟味もなされている。2,3の方法につき簡単な考按を試みると,まず実験高血圧の草分けとして多くの寄与をしてきたGoldblatt法は、人ではこのような条件になることがまれであるとの理由で要因が限定されるとする面もあつたが,血管造影法などの進歩に伴い動脈硬化症や先天性腎動脈狭小に起因する腎血管性高血圧症の起こりかたを説明するのにつごうよく,現在,人の高血圧症の一つの型にGoldblatt型の名が冠せられているのは興味深い。DOCAなど副腎皮質剤過剰投与の実験もその過剰性が人の高血圧症と直接に結びつかぬ点で問題があったが,最近原発性アルドステロン症の病理発生に関連して実験的意義が再検討されており,従来本態性高血圧症と診断されていた症例のなかに原発性アルドステロン症が多く含まれていたことは典型的な多くの症例や剖検例がこれを確認している。
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