文献抄録
風疹ウイルスは生誕後も存続する—"JAMA" 194: 84 (Oct. 4) 1965
浦田 卓
pp.432
発行日 1966年3月10日
Published Date 1966/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201240
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風疹ウイルスの感染に関する最近の研究によれば,妊娠3〜4ヵ月内にこのウイルスの感染をうけると,先天的奇型がしばしば生ずるばかりでなく,母体より胎児に伝達されたウイルスは,誕生後もいぜん生き残るという。このウイルスの慢性子宮内感染状態は,生後もその小児に引きつづきみられるようであるが,その場合は小児に血小板減少性紫斑病,肝脾肥大,肝炎,脳炎,心筋炎および間質性肺炎の症状があらわれるので,それと分るといわれる。
1964年の風疹流行に関する報告とその後の多数の報告をみるに,母親に典型的な風疹の病歴がありかつ風疹症候群の奇型をもつ小児では,その咽頭,結膜,尿および髄液から風疹ウイルスがつねに発見でき,しかも生後少なくとも数ヵ月はそれが可能であるとのことである。母親の風疹感染が不顕性であつても,先天的感染は起きるのであつて,この場合はときに小児は,風疹症候群の典型的徴候か,または先天的風疹にみられる欠陥に類似した欠陥をもつのである。なお,風疹ウイルスは,臨床的風疹に罹つたことのない母親から生れた正常児からも,分離された。
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