増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅷ 内分泌・代謝疾患治療薬
副腎皮質疾患
194.バーター症候群の薬物治療
猿田 享男
1
1慶応義塾大学医学部・内科
pp.2234-2235
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221314
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バーター症候群の概念
バーター症候群は,腎臓の傍糸球体装置の過形成に基づくレニン・アンジオテンシン系(R-A系)の活性亢進,アルドステロンの増加,低カリウム(K)血性アルカローシス,有効循環血液量の減少,アンジオテンシンIIに対する昇圧反応性の低下,腎臓におけるカリクレインやプロスタグランジン(PG)E2やI2の産生亢進などを生じる疾患であり,R-A系が異常な活性状態にあっても,血圧が正常範囲か,低値傾向にあることが特徴的である.
バーター症候群の病因として,腎臓のヘンレ上行脚におけるナトリウム(Na)および塩素(C1)の再吸収障害の結果,遠位尿細管へのNaおよびC1の負荷量が増加し,それに伴ってKの排泄が促進されることが主因であるとする説が多くの支持を得ている.しかし,尿細管の再吸収障害が著明でない症例もあることから,なおその病因に関しては,議論の余地がある.
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