基礎医学
胸腺—その機能についての最近の考えかた
藤本 吉秀
1
1東大・外科
pp.256-259
発行日 1966年2月10日
Published Date 1966/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201190
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長い間謎の臓器とされていた胸腺が,実は免疫機構の主役を演ずるものであることが最近になつてようやく解明された。それも若い医学者Millerが,生まれたばかりのハッカネズミで胸腺を摘除したのが契機となつたのであって,たまたま自己免疫や移植免疫など免疫学の領域でつぎつぎと新しい問題がでてきて,免疫機構の解明に世界中の医学者がおおわらわになつていた時期にこの画期的な知見が発表されたため,その後数多くの研究が相ついで行なわれ,まだわずかに5年しか経つていないのに,すでに胸腺のおもな機能がだいたい明るみに出されるにいたった。まだこまかい点では今後の研究にまつところが多いが,いままでにわかつたことをまとめて述べてみたい。
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