メディチーナジャーナル 血液
赤血球抵抗記録装置(Fragiligraph)/血小板とウイルス
安部 英
1
1東大・吉利内科
pp.288
発行日 1965年2月10日
Published Date 1965/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200710
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溶血性貧血を始め,発作性夜間血色素尿,発作性寒冷血色素尿,いわゆる行軍血色素尿,先天性ないし後天性球状赤血球症,あるいは各種動植物性,細菌性毒素,化学薬品の摂取,さらには火傷時などにおける赤血球の崩壊,すなわち溶血には赤血球を浮べている血漿ないし体液の性質とともに血球のもつ抵抗性が重要であることは,早くより認められてきた。しかし実際この赤血球の抵抗性を測る方法は,1883年Hamburger1)により提唱されて以来,その原理にはほとんど進歩改良がなくて,現在でもなお,濃度の異なつた10数種の食塩水中に洗滌赤血球浮遊液を1滴あて落し,37度に30分間保存後,遠心して沈渣および上清を肉眼で判定している。したがつてこの術式では,①少なくとも2〜3mlの血液が必要で,②採血から判定までに1〜1.5時間を要し,③その判定は肉眼で行なつて,しかも主観によつている。④しかして1滴の血液中にも抵抗性の異なる赤血球が混じていて,溶血を起こす食塩濃度には幅があり,食塩水調製や測定手技の関係から,ある程度抵抗性の変化があつても見逃される可能性があり,⑤しかも測定の都度,正常血液を同時に測定,比較しなければならない。
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