メディチーナジャーナル 聴器
聴器毒,耳鳴,めまい
大迫 茂人
1
1大阪市大・耳鼻咽喉科
pp.139
発行日 1965年1月10日
Published Date 1965/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200670
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最近の内科領域に関連した耳鼻咽喉科の話題と新らしい知見の中から,私が興味あると思われた文献について紹介いたします。
まず,聴器毒については,先に,SM難聴の発生率について,本誌1)に述べたように,大体1%前後といわれて来ていたが,鈴木ら2)は,最近のSM使用患者2,917例について調査し,8,000cpsにて30db以上の聴力損失あるものは,10%前後で,その発現使用量は,1〜20gで8.3%,151g以上では,15.1%であるが,日常会話支障者(聴力損失算出法 a+b+c/3法にて,30db以上あるもの)は,わずか0.27%であると報告している。しかし,SM・KM併用使用者608例では8,000cpsにて30db以上あるものは,SM単独の約2倍,日常会話支障者は,SM単独例に比して約5倍であり,連日投与例および腎機能障害者または泌尿器疾患者に高度障害がみられたとのべ,KMとの併用使用が,毒性の高いことを報告している。Coll3)は,50人の患者にKMを使用し,使用量10〜80gで聴力低下が1/3にみられたと述べている。また,志多・竹上ら4)は,動物実験より,静脈内投与時のKMの聴器障害性は,筋肉内投与時は比較にならぬほど強烈であることをのべている。
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