簡易臨床検査のやり方と評価
リューマチ様関節炎の血清学的検査—とくにRAテストについて
河合 忠
1,2
1中央鉄道病院
2順天堂大臨床病理
pp.6
発行日 1965年1月10日
Published Date 1965/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200633
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リューマチ様因子とγグロブリンの間に生ずる沈降反応または凝集反応を応用したのが,リューマチ様関節炎の診断に使われる血清学的検査であるが,特異的抗原抗体反応とは明らかに異なると考えられる。凝集反応を肉眼的に認めうるための媒体として,ヒツジ赤血球,ポリスティレン・ラテックス粒子,ベントナイト粒子などが用いられる。これらの検査方法のうちスクリーニングテストとして用いられているのがRAテストであつて,ラテックス粒子にγグロブリンをあらかじめ吸着し,それをグリシン生食緩衝液(pH8.2)で希釈した被検血清と反応させて肉眼的にラテックス粒子の凝集が起こるか否かを判定する。
リューマチ様因子はリューマチ様関節炎にしばしば出現し,稀には他の疾患にもみられる19Sマクログロブリンに属する分子量の大きな蛋白質である。このリューマチ様因子は正常血清中に含まれる19Sマクログロブリンとはγグロブリンに対する反応が異なつているため,上記のごとき血清学的反応により鑑別される。リューマチ様因子にはヒトγグロブリンとのみ反応するものとヒトおよび家兎γグロブリンの両者に反応するものと2種類があり,RAテストでは両方の因子を検出することができる。
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