メディチーナジャーナル 消化器
ルポイド肝炎
井上 十四郎
1
1慈恵医大高橋内科
pp.1265
発行日 1964年11月10日
Published Date 1964/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200581
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若い女性に多くみられ,肝腫大,黄疸,皮膚の発疹,関節痛を伴い,その症状や検査所見が汎発性紅斑性狼瘡(SLE)に酷似し,しかも慢性肝障害の経過を示す一群の疾患がルポイド肝炎Lupoid Hepatitis(Mackay 1956)とよばれている。
最近,このルポイド肝炎が注目されて来た理由の一つは,肝疾患の慢性化に関する問題が含まれているからである。すなわち,急性肝炎のウイルス自体は生物学的に血中にはごく初期(1〜2週)しか証明されないにもかかわらずこれが慢性化したり,肝疵護療法を行なうにもかかわらず肝硬変症が進行することなどに対して,免疫学的方面から盛んに追求されつつある現状である。実験的には1940年代より肝炎患者血清中に正常肝組織に反応する抗体の存在することが報告され,肝炎と免疫現象との関係が種々推測されるようになり,最近は螢光抗体法(Popper 1961)を応用して肝炎患者の肝組織中(主としてKupfer Cell,Disse氏腔の細胞)に抗体の存在がみとめられている。
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