海外のシンポジウムから
高窒素血を伴う代謝性アルカロージスのカリウム療法(A. Eichenholz et. a1.),他
森 皎祐
pp.1219
発行日 1964年11月10日
Published Date 1964/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200569
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高窒素血症を伴つた代謝性アルカロージスの治療には,カリウムがたいせつであるとされているが,実際には,かかる治療成績の報告は少ない。報告者らは12例の症例にカリウムの大量を用い,好成績をえたので報告する。
第1群に属する5例の患者は,いずれも幽門閉塞に伴ういちじるしい嘔吐を呈したもので,入院時昏睡ないし半昏睡の状態にあり,著明な脱水状態にあつた。血清化学では,最高132mg/dlに達するB.U.N.のほか,pH7.72,クロール44mEqL,カリウム1.9〜4.2mEq/L,CO2抱合能33〜66mEq/Lなどの数字がえられた。これら患者に対し,初め4日間,毎日220〜300mEq,つぎの4目間130〜190mEqという大量のカリウムを点滴静注によつて与えた結果,アルカロージスはいずれも5日以内に改善され,高窒素血症は8日目までに1例をのぞきまつたく正常化し,臨床的にも完全に回復した。第II群に属する7例の原病は種々であり,第I群との違いは,脱水状態がなく,あるものは浮腫を呈した点である。
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