メディチーナジャーナル 循環器
間歇的腹膜灌流
三村 信英
1
1虎の門病院循環器科
pp.941
発行日 1964年9月10日
Published Date 1964/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200487
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腹膜の全表面積は約22,000平方糎といわれ,Kolf型人工腎臓の18,000平方糎に比してさらに広い表面積を有しており,この腹膜を利用して人工透析を行なう腹膜灌流法は,すでに1923年Ganterらによつて,尿毒症の治療法として試みられていたが,腹膜炎等の感染や水分電解質平衡の障害,また,排液困難などの副作用が強いために,一般に臨床応用は不可能な状態にあつた。しかも,その後人工腎臓の発達によつて腹膜灌流法はまつたく顧みられずに放置されていた。
しかるに,抗生物質の発達と,腹膜灌流方法の改良から比較的副作用を少なくすることが出来るようになり,さらに,人工腎臓の装置および操作の煩雑さや,慢性腎不全患者の治療などでは頻回に行なうことが必要であり,最近いろいろ工夫はなされて来たが人工腎臓では頻回の実施が困難であることなどから,腹膜灌流法が再認されるようになつて来た。
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