診断のポイント
肺高血圧症
友松 達弥
1
1神戸医大内科
pp.534-536
発行日 1964年7月10日
Published Date 1964/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200363
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明らかな原因
肺高血圧症はそれ自体特異の症状が乏しい。あたかも高血圧症が多くは無自覚に経過して,たまたま血圧の測定によつて発見されるように,とくに軽症ないし中等症の肺高血圧においてそうである。高血圧症においては頭痛を初めとする神経性,心因性の諸症状がしばしば見られるが,血圧の測定が診断を決定する。さらに高血圧をきたす原因疾患のあるときはそのための異常所見が,また高血圧が持続しかつ高度であるときはそれに伴う所見の発現によつて血圧の測定をまたず,高血圧の存在がわかることもある。肺高血圧症においても事情はきわめて類似している。肺高血圧症においては本態性高血圧のごとき原因不明の原発性肺高血圧症の頻度はきわめて低く,したがつて原因の明らかなものが多いのである。肺高血圧が高度になると運動時のsyncope,あるいは狭心様症状が一つの特異な症状ではあるが,それよりもしばしば原因疾患による症状が前景となつていて,これによつて肺高血圧症の存在が推知できる。ただし正確には心臓カテーテル法によつて肺動脈圧を測定すべきである。しかし本法の適用もおのずと制約がある以上,前記のごとく原因疾患の確定がより大切なapproachである。
肺動脈圧亢進は主としてつぎの三つの条件下に起こる。
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