治療のポイント
抗腫瘍剤
佐藤 八郎
1
1鹿児島大内科
pp.537-539
発行日 1964年7月10日
Published Date 1964/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200364
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医学の進展に伴い,悪性腫瘍の化学療法は従来に比し格段の進歩をとげてはきたものの,こんにちなお,悪性腫瘍を化学療法のみをもつて根治させることは不可能なことである。そこで,現在の医学の段階で,正しいがんの治療というものがどうあるべきか,そして化学療法剤はそれらのなかでどのような位置を占めているのかといつたことをふりかえりながら,抗腫瘍剤の選びかた,あるいは使いかたといつた問題にふれてみたい。
現代の医学における正しいがんの治療法とは,あくまでも早期に正しく診断し,治療することである。すなわち,外科手術によつて病巣ならびにリンパ腺の廓清を行なつて根治させるか,症例によつては放射線療法によつて根治させるか,あるいはこの両者を併用することががん治療の根本になつている。このように現段階では,制がん剤による治療は第3の治療法としてしか期待されず,あくまでも外科手術,放射線療法につぐ補助的な治療法である。したがつて根治療法の可能な症例に,いたずらに化学療法のみを行なうことは避けるべきである。
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