メディチーナジャーナル 消化器
胃腸膵のトピックス—Fiberscopeについて
松尾 裕
1
1東大中尾内科
pp.461
発行日 1964年6月10日
Published Date 1964/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200346
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こんにち,胃疾患とくに胃がんを目標においた診断にあたつては,レ線検査と内視鏡検査と細胞診の三つの診断法は胃腸病を専門とする臨床医にとつて"三種の神器"ともいうべき重要なものである。このように胃内視鏡診断がわが国において,広く普及したのは,いつに胃カメラのめざましい発展によるものであり,その使用のやさしさ,患者に与える苦痛の少ないこと,かつ記録性にはすぐれたものがある。しかしながら,なにぶんにも盲目的撮影であるから,時に病巣を確実にとらえられない欠点があり,かつその読影にあたつて診断のむずかしい場合がある。直接目で見る従来の胃鏡はこの点病巣とともに胃の蠕動運動の柔軟性や粘膜色調の微妙な変化をとらえてすぐれていたのである。もちろん胃鏡のほうは患者に与える苦痛がより強く,また盲点も多く,ある程度の熟練を要するものだから,なかなか普及しがたかつたのであろう。したがつて胃カメラのような柔軟屈曲性と記録性があり,しかも目で見ながら自由に病巣をとらえられる直視鏡が理想的なものである。Fiberscopeは今後の若干の改良によりこれらの諸点をほとんど満足するものであり,今後世界中に広く普及し,胃疾患の診断および経過観察に不可欠のものとなるであろう。
最近のアメリカにおけるこの方面の論文を二つ紹介する。
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