話題
軽症糖尿病のシンポジウム—第7回日本糖尿病学会総会から
種瀬 富男
1
1慈大第四内科
pp.380
発行日 1964年6月10日
Published Date 1964/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200318
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第7回日本糖尿病学会は,九大勝木司馬之助教授を会長として,4月10,11日の2日間,福岡明治生命ホールで開催された。シンポジウムのテーマは,会員のアンケートからとりあげられたもので,それだけに糖尿病研究者にとつては,大きな興味と期待がもたれたわけである。ここでは,その一つである軽症糖尿病のシンポジウムの大略を紹介しておく。
後藤(東北大)は,東北学派の糖尿病診断基準を用いて糖尿病,正常,腎性糖尿,境界例に分類し,followupしてゆくと,境界例からは将来糖尿病に進展する可能性のあるものが多いが,腎性糖尿とかoxyhyperglycemia(食後の血糖値のみが異常に高いもの)の例にはその傾向が少ないことを報告した。和田(阪大)は,本邦の糖尿病患者には血糖値,尿糖などから見て軽症のものが多いこと,しかし合併症の率は決して少なくないことに注目し,血糖値,尿糖の変化は軽度でも,それら以外にかなりの代謝異常が見られることを指摘し,治療にはこのような面を配慮することが大切であると述べた。葛谷(京府大)は,軽症糖尿病の経年的観察を行なつて糖尿病判定の良否を検討した。
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