Medical Scope
軽症の糖尿病母体に注意しよう
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.446
発行日 1984年5月25日
Published Date 1984/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206457
- 有料閲覧
- 文献概要
母体が糖尿病を合併している症例はハイリスク妊娠の代表格として非常に多くの雑誌や学会でとりあげられている問題です。一般に,糖尿病合併妊婦から生まれてくる新生児は巨大児で,出生後にRDSや低血糖になりやすく,死亡率が高いということがいわれています。ところが,これは母体の管理や分娩時の対策がうまくいかなかったときの話なのです。今月はこの糖尿病合併妊婦のことで,ぜひ,皆さんに知っておいてほしいことをまとめてみました。
まず,糖尿病合併妊婦からは巨大児が生まれるという話ですが,母体の糖尿病を内科的にきちんとコントロールしていれば,つまり血糖値を90〜130mg/dlぐらいにコントロールしてさえいれば,そうはなりません。母体の糖尿病のコントロールが正しく行なわれていないとき,つまり,母体が常に正常のひとより高血糖になっていると,たくさんの糖が胎児へ移行し,胎児はぶくぶくとふとって巨大児になるのです。ですから,正しいコントロールをうけている糖尿病合併妊婦からは,その糖尿病の程度がひどくても巨大児は生まれず,正常の妊婦と同じようなAFD児つまり3,000g前後の新生児が生まれてきます。もし,諸君らの施設で糖尿病合併妊婦から4,500gのベビーが生まれたとしたら,妊娠中の糖尿病管理がうまくいっていなかったことを示すものといってよいでしょう。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.