メディチーナジャーナル 神経
脳血管性発作
田崎 義昭
1
1東邦大学第2内科
pp.304
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200297
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脳卒中は最近わが国死因の首位を占めており,昭和38年の死因推計でもその死亡数は166,200人で,前年よりやや増加している。したがって神経学の分野で診療にもっとも関係の深い問題であろう。脳血管障害による発作は実際には意識障害を伴わない場合も多いので,最近は脳卒中というよりは脳血管性発作cerebrovascular strokeという言葉がよく用いられている。米国のGoldberg & Kurland(World Neurol.,3:475,1962)は世界33力国の脳血管性障害による死亡率を比較し,日本は人口10万につき209人で第1位であり,他の多くの国々が97〜118人であるのに較べはるかに高率であり,しかも日本の脳出血死亡は脳硬塞死亡の12.5倍で極端に多いことを指摘している。
一方米国での日系人の脳出血死は白人よりわずかに多いにすぎない。このことから日本での高率な脳出血死の原因は民族的な特性よりも環境または医師の診断技術の差によるものであろうとしている。さて脳血管障害の分類は,すでに1955年Millikanを中心としたNIHの諮問委員会で決定され,国際的にも広く用いられ,すでに亀山氏により紹介されている。(最新医学,16;2458,昭和36年)
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