連載 世界を見て,日本を見る.Public Health Opinion・7
ベルギー国の公衆衛生事情―教育機関を中心に
小川 寿美子
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1琉球大学医学部医学科地域環境医科学講座
pp.576-577
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100434
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ベルギー国は,1830年にオランダから独立してできた,人口1,029万人ほどの九州よりやや小さめの国であり,フランス,ドイツ,オランダ,ルクセンブルクと国境を接する.ゲルマン系のフラマンとラテン系のワロンの両民族が一国に統合される形で国が成立したため,言語区的に首都ブリュッセルより北部がフラマン語(オランダ語)圏,南部がワロンのフランス語圏とに大別される1).このように小さな国でありながら,文化・言語圏が二分されており,かつ周囲を大国に囲まれている地理的影響もあり,国民は通常3~4カ国語を自由に使いこなせる.
ベルギー国の保健医療体系は,頂点に保健省(Department of Health)があり,国立研究所としてルイ・パスツール公衆衛生科学研究所(Scientific Institute of Public Health―Louis Pasteur)がある.同研究所は,元来1897年に各種検査所が合併し設立,その後1948年に衛生・疫学研究所と改名,1997年より現在の名称となった.実際の活動は,モニタリング,疫学サーベイランス,食品・医薬品の質管理,リスク評価,保健医療データ評価など,検査に基づく公衆衛生活動が特徴である2).
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