書評
―神田善伸 著―血液病レジデントマニュアル―第2版
大山 優
1
1亀田総合病院・腫瘍内科
pp.1104
発行日 2014年6月10日
Published Date 2014/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107629
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評者がこの書籍を手にするのは初版以来2回目である.固形腫瘍診療をしている評者は,以前造血幹細胞移植と血液悪性腫瘍の診療に携わっていた.血液悪性腫瘍の知識をキープアップしたいと思い,読みやすくよい内容の書籍を探していたところ見つけたのが本書の初版であった.同時に米国と日本の診療の相違を手早く効率的に学び,忘れかけていた血液腫瘍疾患の知識をブラッシュアップしようと思った.読み進んで行くと米国のオンライン教科書であるUpToDate®を日本向けに凝縮し,さらに診療上大事なポイントが丁寧にまとめられていることがわかり,著者の神田善伸先生の優秀さに感銘した.著者と評者は,大学こそ異なるが卒業年次が一緒で,専門領域も一時期同じであったため何となく親近感がある.ときどき研究会などで神田先生の講演を拝聴することがあるが,常に頭脳明晰で,かつ実際の臨床経験が豊富でないとできない話の内容にいつも感心している.
今回第2版を手にして感じたことは次のとおりである.初版と同様に血液専門家として知っていなければならない知識がほとんど網羅されている.特に,ここ数年進歩の早い領域では,専門を離れてしまった評者にはフォローしにくい新しい疾患分類とその根拠と流れ,遭遇する機会の多い代表的疾患の病態と必須のポイントが非常にわかりやすくコンパクトにまとめられている.そのため医学生などの初学者をはじめ,専門分野に入りすぎて広い分野の知識が薄れてしまった血液科専門医,また今まさに血液患者診療を研修中の血液科後期研修医(専攻医)と初期研修医までの幅広い読者に役立つ.評者自身もとても勉強になっており,第2版を自ら購入しようと思っていたところだ.
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