REVIEW & PREVIEW
心臓移植治療の現在
遠山 周吾
1
,
香坂 俊
2
1慶應義塾大学医学部循環器内科
2慶應義塾大学医学部内科第一三共心血管炎症学寄附講座
pp.370-376
発行日 2014年2月10日
Published Date 2014/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107346
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最近の動向
歴史的背景と現在の移植待機患者数
心臓移植そのものは1960年代後半に始まり,1980年代に既に手術や免疫抑制の大枠は確立されている.しかしわが国では,1968年のいわゆる和田心臓移植注)が社会的な波紋を呼び,長らく心臓移植は行われてこなかった.その後,実に31年を経てようやく臓器移植法が成立し(1997年),わが国でも成人の臓器提供が可能となったのである(ただし,本人の事前の意思提示が必要).そして,1999年2月28日に大阪大学で国内‘第2例目’の心臓移植が行われるに至り,わが国での心臓移植の道が再び開け,2013年夏までの15年間弱で160件の心臓移植が行われている.
しかしながら,この件数(13年間で69件)は欧米諸国に比べてまだ極端に少なく(米国で年間2,000例程度),この状況を改善するために,2010年7月に改正臓器移植法が施行された.これにより,本人の生前の意思が不明な場合にも,家族の書面による承諾で脳死臓器提供が可能となり,以降,心臓移植件数は約3倍に増加した(図1).
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