特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗胃壁細胞抗体,抗内因子抗体
今福 裕司
1
1福島県立医科大学病院臨床検査部
pp.468-469
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104870
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
胃壁細胞(parietal cell)は胃底部,胃体部にある主要な細胞の一つで,最大多数を占める主細胞〔ペプシノーゲン(pepsinogen)を産生〕に次いで多い細胞であり,刺激因子(ガストリン,ヒスタミン,アセチルコリン)による刺激を受けてプロトンポンプ(proton pump, H+, K+-ATPase)の作用により胃内腔への酸(H+)分泌を担っている.
抗胃壁細胞抗体(parietal cell antibody:PCA)は,この胃壁細胞に対する自己抗体であり,悪性貧血(pernicious anemia)と慢性萎縮性胃炎に出現する自己抗体として報告された.主たる対応抗原は,プロトンポンプ(αおよびβサブユニット,主としてβサブユニット)であり,抗プロトンポンプ抗体とも呼びうる(図1).血清中ではIgG型(分子量約150kD,血中半減期20日),胃液中で検出されるのはIgA型(分泌型として分子量約400kD)で形質細胞から産生される.
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