特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
腫瘍マーカー
泌尿器系
PSA
伊藤 一人
1
,
宮久保 真意
1
1群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学
pp.553-555
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104842
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
前立腺特異抗原(prostate-specific antigen:PSA)はプロテアーゼ活性を有するカリクレインファミリーに属する分子量約34,000の糖蛋白質であり,生理的には精液の液状化に関係している.単位組織当たりのPSA産生量は前立腺癌より正常前立腺組織で多いが,癌組織は基底膜がなく,血管を破壊/侵襲しながら増大するため,組織中のPSAが漏出し,血中のPSA値は上昇する.
血清中PSAのうち5~40%は生理活性をもたないPSAで,遊離型PSAとして存在する.その他のプロテアーゼ活性を有するPSAはプロテアーゼ阻害物質と複合体を形成し,結合型PSAとして存在する.α1-アンチキモトリプシン(α1-antichymotripsin:ACT)と結合(PSA-ACT)する割合が多く,日常臨床で測定可能である.一部はα2-マクログロブリンと結合するが,通常の免疫学的測定では検出不可能である.
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