特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
免疫学的検査
感染関連検査〈ウイルス関連検査〉
Ⅳ型コラーゲン,ヒアルロン酸
池田 均
1
1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学
pp.385-386
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104801
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
ウイルス,アルコール,薬剤,過栄養,自己免疫機序などの原因のいかんにかかわらず,肝臓への障害が継続(慢性化)すると,これに対する創傷治癒機転が持続するため,肝臓には線維成分が沈着し線維化をきたす.線維化が高度に及ぶと肝硬変症となり,肝機能の低下,門脈圧亢進症などにより予後不良の病態となる.すなわち,線維化の程度の把握は診療上,重要である.また,わが国で慢性肝臓病の原因として最も頻度の高いC型肝炎においては,治療法の進歩によりウイルスを排除し,完治を目指すことが可能となってきたが,一般に線維化が進んだ症例では治療効果が低いことが明らかとなっている.したがって,C型肝炎の治療効果を推定するためにも,線維化の診断は重要となっている.
この肝線維化の程度を判断するための血液中マーカーとして頻用されているのが,Ⅳ型コラーゲン,ヒアルロン酸である.これらの物質が肝線維化において血液中で上昇する理由として重要であるのが,肝線維化に伴う肝類洞内皮細胞およびその周囲組織の変化である.肝線維化が進行すると,類洞内皮細胞の細胞膜上のporeが消失し,同細胞と肝細胞との間(Disse腔)に基底膜成分が沈着することにより,類洞内皮細胞における物質の取り込みと肝細胞への受け渡しが障害される.その結果,類洞内皮細胞を窓口とする物質の代謝が減少し,血液中濃度が上昇することとなる.
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