特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
内分泌学的検査
下垂体
GH(成長ホルモン)
岡本 新悟
1
,
上嶋 昌和
1
,
榑松 由佳子
1
1奈良県立医科大学第3内科
pp.306-308
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104775
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
成長ホルモン(growth hormone:GH)は下垂体前葉から分泌される191個のアミノ酸からなる22kDのホルモン(10%ではあるが32~46のペプチドが欠けている20kDのホルモンも含まれる)で,視床下部からの成長ホルモン放出ホルモン(growth hormone-releasing hormone:GHRH)と,ソマトスタチン(somatostatin:SS)よって調節されている.そして,GHは肝臓のGHレセプターに働いてインスリン様成長因子(insulin-like growth factor-Ⅰ:IGF-I)の分泌を刺激し,成長期の骨成長を促進する.そのため,成長期にGH分泌障害を伴うことによって低身長をきたす.さらにIGF-Ⅰを介する骨成長以外のGHの直接作用として糖,脂質および蛋白代謝に対する作用や脳に対する作用が注目されている.成長期以降のGH分泌不全である成人成長ホルモン分泌不全症(adult growth hormone deficiency:AGHD)では,脂質異常症や筋力低下,動脈硬化,うつ状態などを伴うため,近年,GH治療の可能性を含めたGH分泌能の評価が重要となっている.
GH分泌低下の原因はさまざまで,特に下垂体腫瘍や頭蓋咽頭腫,胚細胞腫あるいは自己免疫による下垂体機能低下症に伴う場合や遺伝子異常による単独欠損もある.一方,GH過剰分泌の原因のほとんどは下垂体のGH産生腫瘍によるもので,GH過剰による四肢末端の肥大や特徴ある顔貌を呈する先端巨大症を引き起こす.
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