特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
血液ガス・電解質・微量金属
Posm(血漿浸透圧)
三原 正朋
1
,
平田 結喜緒
1
1東京医科歯科大学大学院分子内分泌内科学(内分泌・糖尿病・代謝内科)
pp.285-287
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104768
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
溶質量の異なる溶液が,溶質は通さないが溶媒は通す半透膜によって隔てられて接した場合,「溶媒が低濃度の溶液から高濃度の溶液側に拡散する圧力」を浸透圧と定義している.生体の体液濃度などの恒常性は,血漿浸透圧により厳密にコントロールされており,浸透圧を測定することにより,体液の濃縮・希釈の状態を知ることができる.
血漿浸透圧の変化は視床下部に存在する浸透圧受容体で感知され,渇中枢を介して水分摂取量が調節される.また,下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモン(antidiuretichormone:ADH,バゾプレシン)を介した腎からの水分排泄により調節が行われる.水分摂取量が少なければ血漿浸透圧が上昇し,口渇が刺激されて飲水を促進するとともに,ADHの分泌が促進し,尿が濃縮されて尿量が減少し,血漿浸透圧は正常化する(図1).このように,浸透圧は体液の濃縮・希釈の動態と密接な関係があるため,血中Na異常,ADH分泌異常,腎における尿の希釈・濃縮能異常などの原因検査に用いられる.
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