今月の主題 高血圧診療―わかっていること・わからないこと
扉
植田 真一郎
1
1琉球大学医学系研究科臨床薬理学
pp.1133
発行日 2010年7月10日
Published Date 2010/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104512
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循環器内科や腎臓高血圧内科などの専門医でなくても高血圧の患者さんに遭遇することは多いと思います.そのときどのように対処するかについては日本高血圧学会のガイドラインがあります.高血圧の領域は臨床試験,臨床研究が多く行われていますので,ガイドラインは多くのエビデンスに基づいて作成されています.ある意味で高血圧領域はEBMを推進しやすいかもしれません.しかしそれだからこそ,の落とし穴があります.
患者さんが多い,ということは一口に高血圧といってもその背景は多様であることを意味しますし,致死的な高血圧は多くありませんので本来はもっと長期的な予後に関する研究が必要なのですが,臨床試験,臨床研究は適切に実施されたとしても多様性への対処や時間軸に関してどうしても限界があり,高血圧の予後と適切な心血管イベント予防のための治療介入について十分にわかっていないことも多いのです.
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