特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
骨軟部
各論
肩関節の解剖
野崎 太希
1
,
新津 守
1
,
齋田 幸久
1
1聖路加国際病院放射線科
pp.384-389
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104205
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肩関節(肩甲上腕関節)は西洋梨状の陥凹をもつ関節窩(glenoid fossa)と,その約3倍の関節軟骨の広がりをもつ上腕骨頭(humeral head)から構成される球関節である.生体内において最大の可動域をもつことが特徴であるが,関節窩が上腕骨頭に対して小さく,関節の不安定性があることが弱点であり,最も脱臼を起こしやすい関節となっている.そのために関節唇(glenoid labrum),上腕骨頭の約2倍の表面積をもつ関節包,関節上腕靱帯をはじめとする靱帯,腱板(rotator cuff)などの軟部組織が補強・支持する構造となっている.表層にあり,触れることのできる筋肉をアウターマッスル,深層にある筋肉をインナーマッスルと呼ぶ言い方があるが,肩関節において腱板を構成する筋肉はインナーマッスルに相当し,関節のstabilizerとして機能している.ほかの関節とは異なるこういった特徴を有するために,一般的に肩関節の解剖,MRIの読影は難しい印象をもたれている.したがって,本稿では肩関節のMRI解剖においてポイントとなる構造について解説する.
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