特集 CT・MRIアトラス Update―正常解剖と読影のポイント
胸部
各論
乳腺
五十嵐 隆朗
1
,
戸崎 光宏
2
,
福田 国彦
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学講座
2亀田メディカルセンター 乳腺センター
pp.244-248
発行日 2009年11月30日
Published Date 2009/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104187
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正常解剖と生理的変化
乳房には,体表面から皮膚,皮下脂肪組織,浅在筋膜浅葉,乳腺,浅在筋膜深葉,乳腺後脂肪組織,大胸筋が順に存在する.成人女性の乳腺(図1)は約15~20の乳腺葉からなる.各乳腺葉の体積は均一ではない.乳腺葉は乳汁産生能を有する終末乳管小葉単位(terminal duct lobular units:TDLU)と乳汁を乳頭へ導く乳管からなる.各乳腺葉からの乳管がそれぞれ乳頭に開口するが,開口直前に紡錘状に拡張する領域がみられ,乳管洞と呼ばれる.生殖可能年齢にある女性の乳腺組織はエストロゲンとプロゲステロンに反応する.エストロゲンは新たな乳管形成や既存の乳管の延長などを促進し,これにより結合組織の量や弾力性が増加し,脂肪組織の沈着,血管分布の増大が生じる.プロゲステロンは小葉の形成を刺激する.乳腺実質は加齢とともに萎縮し,脂肪組織に置換され,周囲結合織の線維化がみられるようになる.
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