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正常解剖
胸壁などの軟部組織を除く骨性構造の正常解剖について記載する.
●胸郭(図1~4)
骨性胸郭は12個の胸椎,12対の肋骨と肋軟骨,胸骨で構成される.前方では肋軟骨が肋骨弓を形成する.上位7対の肋軟骨は胸骨と関節する.第1~2肋骨は胸椎柄の肋骨切痕と関節し,第3~7肋骨は胸骨体部の肋骨切痕と関節する.第8~10肋軟骨は1つ上位の肋骨と関節する肋軟骨間関節を形成する.後方では肋骨と胸椎が関節する.胸骨は3部分からなり,上方から胸骨柄,胸骨体部,剣状突起に分かれる.柄部の上方正中部に頸切痕,上方外側に鎖骨切痕が存在し,鎖骨切痕部で鎖骨と関節する.胸鎖関節は関節円板をもつ滑膜関節で前方に全胸鎖骨靱帯,その外側下方に肋鎖靱帯が存在する.頸切痕の上方を鎖骨間靱帯が走行し,鎖骨を連結する.その下方に第1~2肋骨との関節部である肋骨切痕が存在する.胸骨角部は胸骨柄と体部の結合部分が前方に突出する部分である.体部上外側に第2肋骨と関節する肋骨切痕が存在する.下方に第3~7肋骨との関節部である肋骨切痕が存在し,第1胸肋関節は軟骨結合であり,関節腔は存在しない.第2~7胸肋関節内には関節腔があり,関節内胸肋関節靱帯が存在する.前方には前放射状胸肋靱帯が存在する.肋骨は大きく分け,頭部,頸部,体部から構成される.肋骨の前方には硝子軟骨である肋軟骨が存在する.第3~10肋骨では肋骨頭部に胸骨の肋骨窩との関節部である上下肋骨頭関節面が存在し,肋骨頭稜で境される.第1,2,11,12肋骨頭部では単一の肋骨頭関節面である.頸部の外側後方に肋横突関節部である肋骨結節が存在する.体部の尖端には肋軟骨との関節部分が存在する.第1肋骨体部上面には,鎖骨下静脈溝と前斜角筋結節が存在する.第2肋骨体部上面には前鋸筋による結節が存在する.
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