今月の主題 内科医のためのクリニカル・パール―診療のキーポイントと心にのこる症例
呼吸器・重症管理
【心にのこる症例】結核か,肺癌か,それとも?
光石 陽一郎
1
,
八重樫 牧人
2
1東北大学大学院医学系研究科呼吸器病態学分野
2亀田総合病院総合診療感染症科
pp.1440-1442
発行日 2009年9月10日
Published Date 2009/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104049
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呼吸器内科という科の性質上,胸部異常陰影で紹介される機会が多い.胸部異常陰影の多くを占める結節・腫瘤陰影の鑑別に必ず挙がってくるのが,原発性肺癌と肺結核である.もちろん,その他多くの疾患の可能性はあるが,頻度の点からこの2つの疾患はしばしば鑑別疾患の上位にくる.生命予後の観点からは肺癌の診断が遅れることはできるだけ避けたいし,空気感染・院内感染の観点からは,肺結核の診断が遅れることは患者だけでなく医療従事者にも多大な影響を与える.
最近,筆者は両疾患の合併というやや稀な症例を経験した.両者は排他的な疾患ではないこと,そして疑った時点で積極的に侵襲的な検査に踏み切らないと的確な診断をつけられない可能性があることの2点を痛感したので,本稿で取り上げることにした.
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