今月の主題 内科医のためのクリニカル・パール―診療のキーポイントと心にのこる症例
高齢者医療
【心にのこる症例】高齢者の悪寒・発熱・意識障害・全身倦怠感
平野 史生
1
1手稲渓仁会病院総合内科
pp.1427-1431
発行日 2009年9月10日
Published Date 2009/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104046
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突然の悪寒
【症例1】
糖尿病(食事・運動療法のみでコントロール良好),尿管結石の既往のある80代,男性.早朝に突然の悪寒と嘔気で目覚めた.しばらく様子をみていたが改善しないため,救急車要請し,当院救急部を受診した.受診時はぐったりした様子で血圧127/65 mmHg,心拍数144 bpm,呼吸数32,体温40.2℃,SpO2 95%であった.何らかの細菌感染症に伴う菌血症を疑ったが,問診と身体所見上は局所的・特異的な自覚症状・所見はなかった.強いていえば下腹部に圧痛,直腸診にて前立腺の圧痛を認めたが,いずれも軽度であった.
血液検査でも非特異的な炎症所見のみで,発熱の原因を特定できる異常所見はなかった.前立腺炎の可能性,また尿管結石の既往もあるため複雑性尿路感染症も考え,骨盤までの腹部造影CTを撮像した(図1).
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