書評
症例から学ぶ脊椎関節炎―強直性脊椎炎,未分化型脊椎関節炎ほか
七川 歓次
1
1行岡病院
pp.294
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103803
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著者も述べているように,脊椎関節炎の患者は多く,日常診療でよく遭遇するにもかかわらず,稀な疾患であるという印象が強い.この現状を打ち破るため,この本はわが国初めての,しかも時宜を得た出版物であり,脊椎関節炎の臨床に貢献するところが大きいと思う.著者は豊富な症例の呈示による解説に力を注いでいて,何よりも現場の医師に直接役立つものにしようとする著者の意向には全く同感である.
かつて強直性脊椎炎といわれていたものが,現在では“脊椎関節炎”の中の一疾患とされるようになり,さらに著者のいう未分化脊椎関節炎の診断名も用いられるようになったことで,有病率が増加し,欧米ではRAにほぼ比肩するほどである.脊椎関節炎のもう一つの特徴は多くの合併症をもち,これもRAに劣らず症状が多彩なことで,皮膚,眼,腸の症状,感染症,Behçet病,その他肺,循環器病など枚挙にいとまがない.本書はこの点でも大いに啓発してくれる.
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