書評
神経救急・集中治療ハンドブック―Critical Care Neurology
丸川 征四郎
1
1兵庫医科大学・救急・災害医学/救命救急センター
pp.312
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103804
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本書の著者に神経内科医,脳神経外科医が多いことは想像に余りあるが,救急・蘇生科医が全65名中に12名が含まれている.救急・集中治療という表題にしては意外に少ない.しかし,日本救急医学会(第34回学術集会)を見ると脳蘇生,脳卒中についてのシンポジウムが各1セッションあり,脳低温療法の講演が2セッション,一般演題は5セッションと活発である.この事実からみれば,本書には神経内科・脳神経外科と救急・集中治療科の2つの世界の癒合を促そうとする編者の意図が窺える.さらに穿ったことをいえば,救急・集中治療医に神経系を専門とする医師を育成すべきとのメッセージが含まれているのかもしれない.「監修の序」には,「critical care neurologyの導入と体系化」が本書編纂の目的と述べてあり,「編者あとがき」には,「わが国には,神経系疾患全般に対して対応できる高度の施設はまだ非常に乏しい」現状への挑戦が窺える.
本書の体裁はA5判,496頁と病棟や診察室など狭いテーブルに置かれることを意識したサイズである.その意味では,いわゆる教科書と実用書の中間に属するものと理解できる.
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