連載 市中感染症診療の思考プロセス IDATEN感染症セミナーより・8
胆道系感染症のマネジメント
矢野 晴美
1
1自治医科大学 臨床感染症センター感染症科
pp.2084-2089
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103615
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本稿では,ケースをもとに,どのように胆道系感染症にアプローチすべきか,マネジメントの基本を述べたい.
ケース 発熱,右季肋部痛,黄疸のある80歳女性
現病歴 ADL自立した80歳の女性が,半日持続する発熱,悪寒戦慄,嘔気,右季肋部痛の訴えで救急外来を受診した.呼吸困難や咳はない.既往として食事療法を行っている糖尿病があり,胆囊胆石,総胆管結石を指摘されている.
身体所見 体温39.5℃,心拍数120/分,呼吸数24/分,血圧90/60mmHg.全身状態:きつそうである,頭目耳鼻喉:黄疸著明,心臓:I・II音正常,雑音なし,胸部:右下肺に呼吸音減弱し打診上濁音,ラ音なし,腹部:平坦・軟,軽度の右季肋部痛,肝腫大なし,脾腫なし,四肢:皮疹なし,下肢痛なし,リンパ節:触知せず.
検査データ ヘマトクリット36%,白血球14,500/μl(好中球72%,桿状球19%,リンパ球3%,単球6%),血小板7万/μl,CRP34,電解質,BUN,クレアチニン正常,赤沈82mm/hr,ALT82,AST55,ALP122,ビリルビン6.0,胸部X線:右胸水(+),血液培養:グラム陰性桿菌(+),腹部エコー:総胆管拡張,胆囊胆石,総胆管胆石貯留.
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