書評
標準小児科学―第6版
小島 勢二
1
1名大大学院・小児科
pp.2278
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103153
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小児科学は,すべての臓器別分野が対象となるほか,小児の特徴である胎児,新生児から思春期までを含む成長と発達という時間軸からの視点も重要である.さらに,小児保健や精神疾患・心身医学的側面も含まれる.このように,広範な分野を対象としているにも関わらず,各大学において小児科学へあてられる講義時間は限られている.とりわけ,医学教育にチュートリアル授業が導入されてからは,講義時間の削減は顕著である.評者が所属する名古屋大学においても,小児科学にあてられる講義時間はわずか15時間にすぎない.学生は自学自習が原則であり,膨大な小児科学の内容を欠けることなく簡潔にまとめた教科書が必須である.本書は,このような目的に適しており,1991年に第1版が出版されて以来,今回第6版と改訂を重ねていることは,わが国の医学生に広く支持されていることを反映した結果であろう.
本書は,疾患の記載については,①定義・概念,②病因・病態,③臨床症状,④診断,⑤治療,と統一されており,その内容も簡潔で理解しやすい.図や表が多数含まれていることも理解の一助になるであろう.付属のカラーページも充実しており,麻疹・水痘といった発疹性疾患の皮膚所見から,急性白血病の骨髄像まで鮮明な画像が多数掲載されている.
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