特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅲ.心臓
心エコーの適応(と他のモダリティ)
胸部X線でみつかった心拡大
原田 昌彦
1
1東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部
pp.72-77
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103047
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胸部X線の心拡大からどのような病態・疾患を考えるか
一般に胸部X線の心拡大とは,心陰影の拡大を意味する.胸部X線正面像において,心陰影の右縁(右第Ⅱ弓)は右房,左縁(左第Ⅳ弓)は左室の辺縁より構成される(図1).したがって,右房あるいは左室の拡大は心陰影の拡大をきたすが,右室や左房が著しく拡大した場合も心陰影は拡大することとなる(図2).さらに,心膜腔に液体が貯留した場合などでも心陰影は拡大する.このように,心拡大は,①いずれか1つあるいは2つ以上の心腔拡大,②心膜腔に一定以上の液体が貯留した状態,③心臓以外の病態,を意味する.
心拡大の評価法としては,心胸郭比(cardiothoracic ratio:CTR)が一般的に用いられており,成人では50%以下が正常である.しかし,乳幼児や肥満者,臥位で撮影したポータブルX線写真の場合は50%以上でも必ずしも異常とはいえず,理学所見などを参考に総合的に評価する.一方,CTRが60%以上であれば,間違いなく何らかの異常があると考えて差し支えない.いずれにしても,胸部X線で心拡大を認めるか,あるいはその疑いがあれば心エコー検査の適応となる.
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