特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
細菌検査
感受性検査
ディスク法
福地 邦彦
1
1昭和大学医学部臨床病理
pp.572-576
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101905
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細菌検査の目的は,疾患の起炎菌を同定し,その特定の細菌の抗菌薬感受性を判定し,治療の方向性をつけることである.現在,臨床検査室において,抗菌薬感受性検査はディスク法と微量液体希釈法の2つが行われている.どちらもin vitroでの被検細菌の生育が目的の抗菌薬による抑制されること,すなわち表現形質を判定する検査である.遺伝形質の検索は,抗菌薬耐性化機構の解析に必須であるが,本稿では解説しない.
ディスク法は,細菌の抗菌薬感受性を定量的に判定する手技であり,小さい吸水性の紙の円板に既知量の抗菌薬を含ませたもの(ディスク)を使用して行う.検査対象とする菌株を塗り広げた寒天平板の上表面にこのディスクを置き培養を行う.ディスクは培地中の水分を吸収して抗菌薬が溶解し,ディスクから培地中へ拡散し,時間とともにディスク周囲の培地中に染み出た抗菌薬の濃度勾配ができあがる.被検菌は増殖を開始するが,菌の感受性に従い高濃度領域では発育が阻止され,発育阻害の同心円(阻止円)ができあがる(図1).検査手技が確実であれば,この阻止円の直径は,ほとんどの抗菌薬において,微量液体希釈法で求められる最小発育阻止濃度(minimal inhibitory concentration:MIC)値とほぼ相関する.したがって,感染症治療の現場では,簡便で,多くの薬剤に即応でき,かつ信頼度の高い抗菌薬感受性検査として利用される.
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