特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
細菌検査
感受性検査
ディスク法
福地 邦彦
1
1昭和大学医学部臨床病理
pp.580-583
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104852
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現在,臨床検査室において抗菌薬感受性検査はディスク法と微量液体希釈法の2つが行われている.どちらもin vitroでの被検細菌の生育が検査目的の抗菌薬により抑制されること,すなわち表現形質を判定する検査である.
ディスク法は細菌の抗菌薬感受性を定量的に判定する手技であり,小さい吸水性の紙の円板に既知量の抗菌薬を含ませたもの(ディスク)を使用して行う.検査対象とする菌株を塗り広げた寒天平板の上表面にこのディスクを置き,培養を行う.ディスクは培地中の水分を吸収して抗菌薬が溶解し,ディスクから培地中へ拡散し,時間とともにディスク周囲の培地中に染み出た抗菌薬の濃度勾配ができあがる.被検菌は増殖を開始するが,菌の感受性に従い,高濃度領域では発育が阻止され,発育阻害の同心円(阻止円)ができあがる(図1).検査手技が確実であれば,この阻止円の直径はほとんどの抗菌薬において微量液体希釈法で求められる最小発育阻止濃度(minimal inhibitory concentration:MIC)値と相関する.したがって,感染症治療の現場では,簡便で,多くの薬剤に即応でき,かつ信頼度の高い抗菌薬感受性検査として利用される.
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