特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗胃壁細胞抗体,抗内因子抗体
小川 法良
1
,
下山 久美子
1
,
菅井 進
1
1金沢医科大学血液免疫制御学
pp.452-453
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101866
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
経口摂取されたビタミンB12(以下B12)は胃底部,胃体部に存在する胃壁細胞が胃液中に分泌する内因子と結合し,複合体を形成する.内因子B12複合体は,回腸の微絨毛表面の刷子縁にある内因子受容体に結合し,そこで内因子とB12が解離して吸収される.吸収されたB12はトランスコバラミンIIと結合して組織に運搬される.活性型B12の1つであるメチルコバラミンはホモシステインからメチオニンを合成する補酵素として作用し,この経路は葉酸の代謝経路における5-メチルテトラヒドロ葉酸からテトラヒドロ葉酸への変換経路と共役している.このためB12の欠乏はテトラヒドロ葉酸の欠乏,さらに5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸の欠乏をもたらす.この結果,造血細胞におけるDNA合成が障害され,巨赤芽球性貧血が発症する.巨赤芽球は成熟した細胞質と未熟な核を持つ大型の赤芽球であり,葉酸欠乏でも認められる.同時に汎血球減少を認めることが多い.
抗胃壁細胞抗体の対応抗原は,H+,K+-ATPase(プロトンポンプ)のαおよびβサブユニットであるため萎縮性胃炎と無酸症を示す.通常,蛍光抗体法にて測定する.
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