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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
梅毒血清反応は,献血,集団検診,妊婦検診などに際し,梅毒のスクリーニングとして,あるいは感染機会があった症例に対して梅毒感染の診断として行われ,梅毒患者における治療の適応および治療効果の判定などに欠かすことのできない検査である.反応は,感染後4~6週で陽性化するといわれてきたが,最近では1~3週後に陽性化するものが多くなってきている.
梅毒血清反応は抗原の種類により2種類に大別される.1つは,リン脂質のカルジオリピン・レシチンを抗原として用いるserologic test for syphilis(STS)法である.カルジオリピン・レシチンはウシ心臓より抽出されるリン脂質で,梅毒抗体と反応性を示す.ガラス板法,rapid plasma reagin card test(RPR法),梅毒凝集法,緒方法などがこの方法に該当する.STS法はTreponema pallidum(T. p)を直接の抗原としていないため,梅毒に感染していなくても,ときに陽性反応を示す生物学的偽陽性反応(biological false positive:BFP)が生じることがある.もう1つは,梅毒の病原体であるT.pを抗原として用いるトレポネーマ抗原法(T.p 抗原法)で,T.pの菌体成分による感作血球を用いる間接赤血球凝集反応であるTreponema pallidum hemagglutination(TPHA)法と,T.pの菌体成分を吸着したラテックスと抗T.p抗体を反応させるTreponema pallidum latex agglutination(TPLA)法,fluorescent treponemal antibody-absorption(FTA-ABS)法などがある.治癒判定には,IgM,IgGを分画したFTA-ABS法やTPHA法を組み合わせることも有用である.抗体の陽転化は,まずFTA-ABS法とSTS法がほぼ同時に陽転し,TPHA法が最も遅く陽転する傾向がみられる.
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