特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド
各論
3 ホルモン・生理活性物質
13)副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
橋本 浩三
1
Kozo HASHIMOTO
1
1岡山大学医学部第三内科
キーワード:
ACTH
,
CRH
,
バゾプレツシン
Keyword:
ACTH
,
CRH
,
バゾプレツシン
pp.1542-1548
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900370
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ACTHの産生と生理的作用
副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone;ACTH)は,下垂体前葉のACTH産生細胞で産生されて血中に分泌されている,39個のアミノ酸から成るポリペプチドで,分子量は約4,500である.下垂体以外にも脳,副腎髄質,胎盤などでACTH様物質が生成されるが,その生理的意義は不明である.また肺,胸腺,膵などの腫瘍でACTH様物質が産生されることがあり,これらは異所性ACTH産生腫瘍と呼ばれている.ACTH産生細胞内では,ACTHの前駆体であるpro-opiomelanocortin(POMC)がまず産生され,酵素によって順次分解されてACTHが生成される.POMCはその構造中にACTHのほかに,N端ペプチド,β-メラニン細胞刺激ホルモン,β-リポトロピン,エンドルフィン,エンケファリンに相当するアミノ酸配列を含み,ACTHとともにそれらのペプチドも血液中に分泌されている.
ACTHの生理的役割は,文字どおり副腎皮質刺激作用であり,副腎皮質細胞に作用してコレステロールからプレグネノロンへの転換を促進させることにより,各種皮質ステロイドホルモンの生成分泌を刺激する.特に糖質ステロイドであるコルチゾールの分泌促進作用が生理的に重要である.ACTHが長期的に副腎に作用すると,副腎重量の増加作用が認められる.また,副腎外作用としてメラニン細胞刺激作用,血糖降下作用,脂肪組織に対しての脂肪動員作用が知られているが,副腎皮質刺激作用に比較すると生理的意義は低い.
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