特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
内分泌学的検査
下垂体
TSH(甲状腺刺激ホルモン)
家入 蒼生夫
1
1獨協医科大学臨床検査医学
pp.313-315
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101812
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甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone, thyrotropin:TSH)は,下垂体前葉TSH産生細胞で合成・分泌される糖蛋白ホルモンで,α,β2つのサブユニットからなる.αサブユニットはゴナドトロピン(LHおよびFSH)や胎盤性ゴナドトロピン(hCG)のαサブユニットと共通の構造である.TSHの分泌調節は,血中遊離甲状腺ホルモン(free T4:FT4およびfree T3:FT3)との間の負の反回調節(negative feedback regulation),視床下部ホルモンの1つであるTSH分泌刺激ホルモン(TRH)およびその他の中枢神経からの調節因子などによりなされる.
TSHは臨床検査ではイムノアッセイで測定される.現在の主流は,異なる2つのエピトープをもつ抗体の一方を固相抗体,他方を標識抗体とし,試料中の抗原(TSH)を挟むような複合体を形成させ,標識物質の信号(化学発光,蛍光,放射能など)を検知するシステムとした非競合サンドイッチ法である.この方法での測定感度は,実際の診療を考慮した測定間再現性を表す変動係数(CV)が20%を示す最低濃度とする実効感度で0.01~0.02μU/ml以下であり,健常人の最低濃度と甲状腺機能亢進症の示す濃度は明確に区別できる.一方,すべてのイムノアッセイに共通する問題として,標準物質や抗体の性状に依存する測定方法間での測定値の不一致があり,今なお完全には解消されていない.
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