特集 Common Disease インストラクションマニュアル―患者に何をどう説明するか
循環器疾患
逆流性弁膜症
水重 克文
1
1国立病院機構高松東病院循環器科
pp.50-53
発行日 2006年11月30日
Published Date 2006/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101469
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労作時呼吸困難感や動悸を訴えて受診した場合,特徴的聴診所見を聴取すれば診断できる.大動脈弁,僧帽弁いずれにおいても,左室に対する容量負荷から心不全の原因となるが,病態はやや異なる.大動脈弁閉鎖不全症では,拡張期血圧の低下のため,冠循環障害も合併して心筋のダメージが大きい.僧帽弁閉鎖不全症では,心房細動の合併によって左房内に血栓を生じ,脳梗塞などの塞栓症を併発する可能性について説明しておく.心エコー法によれば弁逆流の成因の診断,重症度の評価および治療方針の決定に至る幅広い評価が可能であり,左室駆出率の低下や左室収縮末期径の拡大が術後の予後予測因子となる.急性発症の場合,いずれにおいても比較的急速に左心不全症状を呈するため,緊急あるいは準緊急手術となる例が多い.
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