特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅱ.特殊な病態の術前患者管理
6.腎・尿路系
慢性腎不全
郷 秀人
1
,
斎藤 和英
1
,
武田 正之
1
1新潟大学医学部泌尿器科
pp.367-368
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902520
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術前検査と重症度の判定
腎機能障害による合併症は表1に掲げるように循環器,呼吸器をはじめ多臓器にわたって起こりうる.したがって,手術目的に腎不全患者が入院した場合には,これらの合併症の有無につき注意を払う必要がある.しかし,これらすべてにつき詳細に検査をする必要はない.ある程度腎機能障害患者として管理されてきている症例であれば,術前検査としては表2に掲げる検査で十分であろう.また,入院時まで腎機能障害を指摘されていない症例もある.腎臓には予備力があり,多少の機能低下では血中尿素窒素や血中クレアチニン値が上昇してこないことがある.手術を予定する場合は,術前腎機能の評価としてクレアチニンクリアランス(Ccr)の値で重症度を評価し,管理するとよい1).その方針を表3に示す.
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