特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方
腹部
腹部異常ガス―その原因と読影のポイント
後閑 武彦
1
,
信澤 宏
1
,
宗近 宏次
1
1昭和大学医学部放射線科
pp.228-233
発行日 2004年11月30日
Published Date 2004/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101209
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典型的な症例
立位腹部単純X線写真で,右上腹部に空気-液面形成を伴った異常ガス像がみられる(矢印).このガス像に連続し,線状のガス像が連続している(矢頭).部位から考えて,このガス像の由来は胆囊,腸管,右腎などの可能性があるが,矢頭は胆囊の輪郭(胆囊壁内ガス),矢印は胆囊内腔のガスと考えると胆囊の形態と一致し,気腫性胆囊炎と診断される.
気腫性胆囊炎は胆囊腔,胆囊壁,胆囊周囲にガスが認められる急性胆囊炎の特殊型である.一般の胆囊炎と異なり,男性に多い.無胆石例も多く,糖尿病に合併することが多い.穿孔率が通常の急性胆囊炎の5倍あり,死亡率も高いので,早期の治療が必要である.腹部X線所見の特徴は胆囊壁内ガスであるが,その判定が困難なときにはCTが役立つ1).
本稿では腹部単純X線写真でみられる腸管外ガス像のうち,腹膜腔遊離ガスを除いた異常ガス像について解説を行う.この異常ガス像は,腹部単純X線写真で特徴的な所見を示すものもあり,早期発見の手がかりとなることも少なくない.また,早急な治療を有する病態が関係することが多く,早期発見の臨床的意義は高い.
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