Japanese
English
特集 術後呼吸障害とその管理
術後の血液ガス異常
Abnormal status of blood gases after surgery
吉竹 毅
1
Tsuyoshi YOSHITAKE
1
1東京大学医学部胸部外科
pp.499-507
発行日 1978年4月20日
Published Date 1978/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206929
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はじめに
臨床上,治療面で通常測定する血液ガスは酸素(O2)と炭酸ガス(CO2)である.O2は生体内のmitochondriaに運搬され,エネルギー基質を酸化することにより発生する自由エネルギーを化学的エネルギーに変換し,生体維持およびその機能発現のため消費されるので,外界より細胞内へのO2の運搬,その化学反応は生命の根源である.このO2を外界より取り込む第一の関門は肺である.O2は肺の膜を通して拡散により血液に移行し,受取られ,さらに血液より細胞に運搬される.
細胞で物質の酸化の結果CO2が生産される.この代謝終末産物であるCO2は,主として血液によりO2とは逆方向に運搬され,肺より呼出される.このO2の摂取,CO2の排出が肺において障害されると,生命に直結した危機を生ずることとなる.したがつて,肺での呼吸障害を検索するためには,O2とCO2は性質が異なるため,障害機序も異なることとなり,両ガス各々の測定が必要である.
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