今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈骨盤内臓器(子宮)〉
絨毛性疾患
佐久間 亨
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学
pp.288
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100995
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絨毛性疾患は大きく胞状奇胎(図1)とそこから発生する絨毛癌とに分けられ,奇胎囊胞と呼ばれる数mm~数cm大の水腫様に腫大した絨毛が,ブドウの房状あるいは数珠状に子宮腔内を占拠する.①奇胎囊胞が全体に認められ,胎芽,胎児成分がない場合を全胞状奇胎,②正常絨毛,胎芽や胎児,臍帯や羊膜を伴う場合を部分胞状奇胎,③子宮筋層にまで病変が入り込んでいる場合を侵入胞状奇胎という.超音波検査では奇胎囊胞自体およびその囊胞壁が点状あるいは線状の高輝度エコーとして認められ,雪片像(snowflake pattern)と称されてきた.しかし現在の高解像度の超音波装置や経腟超音波では,大小の奇胎囊胞そのものがブドウの房状,数珠状の囊胞集簇像として描出されvesicle patternと呼ばれている.実際には全胞状奇胎と部分胞状奇胎との鑑別は容易ではなく,胎囊あるいは胎児が観察されるか否かが重要な鑑別点となる.
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