今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈肝(腫瘤性)〉
肝原発悪性リンパ腫
江口 貴子
1
,
水口 安則
2
1国立がんセンター中央病院内視鏡部
2国立がんセンター中央病院臨床検査部
pp.218
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100930
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1. 疾患概念
肝原発悪性リンパ腫は稀な疾患であり,現在までの報告は150例に満たない.節外性非Hodgkinリンパ腫のうち,肝原発は1%以下とされている.組織学的には非Hodgkinリンパ腫のdiffuse large B-cell lymphomaが約半数を占める.Leiらは90例の報告例をまとめて,41%が単発性腫瘤,30%が多発性腫瘤,19%がびまん性,10%が形態的所見なしと報告している1).それに対し全身性リンパ腫の肝浸潤は,剖検例の検討でHodgkinリンパ腫の60%,非Hodgkinリンパ腫の50%程度に認められる.Hodgkinリンパ腫はびまん性に肝へ浸潤する場合がほとんどである.非Hodgkinリンパ腫は,びまん性に浸潤するものと,1cm以下の多発性肝腫瘤の形態をとるものが同程度認められる.
2. 超音波像
肝原発性悪性リンパ腫は,他臓器のリンパ腫と同様,多彩なエコー所見を呈し,特異的な超音波像はないといわれている.Gazelleらの報告では,6例中4例で低エコー,2例で無エコー腫瘤を呈していた2).Leiらの報告では5例中3例がびまん性低エコー性肝腫大,1例で低エコー腫瘤を呈し,1例で異常所見を認めなかった.いずれも内部エコーは均一であった.また,二次性の肝リンパ腫の9例では,6例が低エコー,1例が高エコーを呈し,びまん性浸潤の2例では異常所見を認めなかったとも報告している3).ターゲットパターン様のエコー像を示す腫瘤の報告例もある.
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