今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈肝(腫瘤性)〉
肝腺腫
丸山 紀史
1
,
松谷 正一
1
,
税所 宏光
1
,
菊池 保治
2
,
篠崎 正美
2
,
後藤 信昭
2
1千葉大学大学院医学院研究院腫瘍内科学
2沼津市立病院内科
pp.211
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100924
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肝細胞腺腫(肝腺腫)は,肝の上皮性良性腫瘍に分類される.経口避妊薬との関連についてはよく知られ,欧米では同薬剤の普及に伴って増加の傾向にある.しかし本邦ではきわめて稀な腫瘍であり,その報告例も少ない.増大した腫瘍による圧迫症状や腫瘤触知によって診断されることが多いが,最近では,比較的小さな腫瘤として発見された報告例も散見される.本稿では肝腺腫の臨床像とその超音波所見について概説する.
1. 肝腺腫の臨床的特徴
経口避妊薬や蛋白同化ホルモンの服用,糖原病,チロジン血症などが背景因子として挙げられる.20~30歳台の若年者に多くみられ,正常肝に発生することが特徴である.通常は単発であるが,糖原病に合併した例では多発例も認められる.腫瘍内へ高率に出血し,短期間で増大した例や破裂によって腹腔内出血をきたした報告例もある.また経口避妊薬の連用例や糖原病に合併した場合には,悪性化の傾向を呈することもある.
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