技術講座 超音波技術の新しい展開
超音波による肝血流の診断
松谷 正一
1
,
丸山 紀史
1
,
野本 裕正
1
,
秋池 太郎
1
,
佐藤 悟郎
2
,
福沢 健
3
,
水本 英明
4
,
税所 宏光
1
1千葉大学大学院腫瘍内科学
2安房医師会病院内科
3国立横浜東病院内科
4船橋市立医療センター内科
pp.803-806
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900358
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●はじめに
超音波や超音波ドプラを用いると,目的とする血管でのいろいろな血流情報を捉えることができる(表1).血流の有無や血流方向のようなスクリーニング診断から血流速度や血流量の測定や波形解析などの精密診断まで,目的に応じて幅広い対応ができるのが,超音波を用いた血流診断の特徴である.肝臓は複雑な血行支配を受けており,測定方法により得られる内容も異なってくる.そこで,肝血流の診断に超音波をもちいる意義と考えると,以下のことが挙げられる.
①門脈,肝動脈,肝静脈の血流をそれぞれ別個に検討できる.
②肝の区域毎の血流評価が行える.
③繰り返しの検査が簡便に行える.
超音波では,このような特徴を生かして肝血流の異常を診ることになる.さらに,最近では微小気泡を用いた超音波造影剤が開発され,従来は検討できなかったような末梢血管での血流を評価できるようになってきている(消化器画像:技術講座2001;3:519-524).本稿では,超音波による肝血流の診かたの基本と代表的な血流異常所見を概説する.
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