講座 症候からみた腹部エコー検査のこつ
鑑別のポイントと描出のテクニック
腹部膨満感
松谷 正一
1
,
丸山 紀史
1
,
小林 哲
1
,
吉住 博明
1
,
奥川 英博
1
,
税所 宏光
1
1千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学
pp.127-130
発行日 2005年1月15日
Published Date 2005/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100020
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腹部膨満とは
腹部が膨るような感じがする自覚症状(Abdominal fullness)や,他覚的に腹部が膨隆している状態(Abdominal distension)を腹部膨満と言う.消化管の機能異常に伴った不定愁訴から,腫瘍などによる重大な症状まで,様々な状態を反映した症候である.腹部膨隆を来たす原因としては,腹水の貯留,臓器の腫大,様々な腫瘤,消化管内容の停滞,消化管ガスの増加(鼓腸)などがある.
超音波による腹部膨満の診かた
超音波は,身体診察に次いで行われる検査である.腹部のスクリーニング診断に従って,腹部全体を検査する.腹部膨満感あるいは膨隆を診る場合には,腹水の貯留,異常なガス像,腫瘤の有無を特に注意する必要がある.重大な疾患を見落とすことがないように慎重に検査を行う.超音波で有意な所見がない場合には,消化管の検査が必要になる.以下には,超音波で得られる所見について述べる.
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